お盆の混雑期(11~19日)を迎える中部空港(愛知県常滑市)が駐車場不足に悩んでいる。これまでの臨時駐車場が新ターミナルの建設工事で閉鎖され、過去6年のピーク実績を下回る8100台分しか用意できないからだ。空港会社は電車やバスの利用を呼びかけるが、「お客様の協力がないと、駐車場があふれて飛行機の乗り遅れも生じかねない」と心配する。
空港にある一般向け駐車場は昨春まで、立体駐車場5800台分と空港島南端の臨時駐車場4300台分の計1万100台分があった。臨時駐車場はお盆や年末年始、春の大型連休に使われたが、格安航空会社(LCC)専用の新ターミナル建設に伴い昨年5月以降、段階的に容量が減り、今年5月に閉鎖された。
空港会社も対策を講じてはきた。昨夏以降、愛知県企業庁の土地を借りるなどし、今夏は計2300台分を別の場所に臨時駐車場として確保した。このうち、480台分は空港内の各事業所従業員らが使う契約駐車場を今夏の混雑期だけ特別に転用したものだ。
中部空港の駐車場利用は、2016年夏のピーク時に1万台を突破し、一時、駐車場に入れない車の列ができたという。駐車場が減り始めた昨夏以降、空港会社は混雑期の集客イベントをやめたり、広告やCMを使ったりしながら、電車やバスの利用を呼びかけ続けている。空港会社の要望を受け、空港に乗り入れる電車なども輸送力を増強。名鉄は特急の一部を4両編成から8両に増結し、バス会社も一部で増便する。
昨夏ピーク時の利用実績は8295台。奥野康生・アクセス対策室長は「取り組みがなければピークで1万1千台の需要があった」として、2割以上を削減できたと分析。このお盆はピーク時で1万2千台の需要があるとして、8100台分の駐車場で乗り切るために3割以上減らす必要に迫られている。「お客様の協力が大前提。それなしでは崩壊してしまう」と気をもむ。
空港会社によると、中部空港に来る人の4割が車を利用。成田や関西の1割程度と比べて突出している。空港では、ボーイング787初号機を展示する複合商業施設「フライトオブドリームズ」が今秋以降にオープンするなど、新施設の建設が目白押し。だが、駐車場不足は来夏も続く。電車やバスにどう振り替えるかは大きな課題だ。
空港会社は来年度上期内の新ターミナル運用開始に合わせて、立体駐車場1200台分を整備。来秋に空港島にできる愛知県国際展示場の3400台分も含めて、計約1万400台分の駐車場を確保する方針だ。(豊平森)