日米の閣僚級の通商協議「FFR」は10日、2日間にわたった議論を終えた。茂木敏充経済再生相は会合後、トランプ政権が検討する輸入車への高関税措置について「信頼醸成が不可欠だと明確に伝え、その上で信頼関係に基づく協議を続けていくことにした」と説明。双方が一定の合意をめざす9月下旬の日米首脳会談に向け、当面は発動が見送られるとの見通しを示した。
FFRは、4月の日米首脳会談で設けられた交渉の枠組み。米ワシントンで開かれた今回が初の会合だった。交渉役を担った茂木氏と米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表との間で、次回会合を9月に開くことも決めた。
今回は米側が日米自由貿易協定(FTA)を念頭に二国間交渉を要求する一方、日本側は環太平洋経済連携協定(TPP)への復帰を求めた。双方の主張の隔たりは大きいが、茂木氏は「立場の相違を埋め、日米の貿易を促進させるための方策を見いだしていく方向で一致した」と述べた。
茂木氏は、9月に見込まれる日米首脳会談を前に「ステップを踏んでさまざまなことを協議したい」とも語り、首脳会談までに一定の合意をめざす姿勢を示した。中国の知的財産の取り扱いを巡る問題などを念頭に、「国際経済問題での日米協力を一層進める」ことも合意した。
USTRは会合後の声明で、「米国と日本は、相互の信頼に基づく協議を続け、9月の次回の閣僚級協議でさらに議論を深めることで合意した」と表明し、日本側と歩調を合わせた。(ワシントン=二階堂友紀、西山明宏、青山直篤)