地域のがん治療の拠点病院でがんの疑いが見つかりながら、治療を受けられずに患者が死亡する例が相次いでいる。生死にかかわる情報はなぜ埋もれてしまうのか。
横浜市立大付属病院は6月下旬、心臓の治療で6年前に受けたコンピューター断層撮影(CT)検査で腎臓がんの疑いが見つかった60代男性が、診断が遅れて今年4月に亡くなったと発表した。放射線科の診断医はCT画像の異常に気付き、画像診断報告書に腎臓がんの疑いについて記した。だが、男性の主治医の循環器内科医は報告書を見ておらず、男性は腎臓がん治療の機会を逸した。
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6月には、同様の確認不足でがんの治療が遅れた例が、千葉大病院、兵庫県立がんセンターでも相次いで発覚。いずれも、地域のがん治療の中核となるがん診療連携拠点病院だ。医療事故の分析にあたる日本医療機能評価機構によると、報告書の確認不足は2015年1月~18年3月に37件あったという。ある大学病院幹部は「氷山の一角に過ぎない」と話す。
■医療の細分…