自分の卵子で妊娠することができない女性に、第三者からの無償の卵子提供を仲介するNPO法人「OD―NET」(神戸市)は、昨年以来、提供卵子による体外受精で計4人の子どもが誕生したと、27日発表した。同NPOの岸本佐智子理事長は「卵子提供を日本で広めるには、出自を知る権利などのルールを確立させる必要がある」と法整備の必要性を訴えている。
この日、千葉市であった日本受精着床学会で発表した。若いころに月経がなくなるなどして、医師に卵子がないと診断された35~43歳の6人に、提供卵子と夫の精子を体外受精させて子宮に戻した。4人が出産し、1人は流産、1人は妊娠しなかった。最初の出産のケースは昨年発表していた。今後、もう1人に卵子を提供予定という。
同NPOは2013年に提供者の募集を始めた。今年3月までに270人から問い合わせがあり、35歳未満などの条件を満たした32人が登録している。提供者と受ける夫婦はお互いの情報は知らないという。
現在の民法は卵子提供による子どもの誕生は想定していない。厚生労働省の部会は03年、出自を知る権利の確保を含めた制度整備を条件に、匿名の第三者からの無償提供を認めた。その後も法整備はされていない。(福地慶太郎)