古楽の重鎮トン・コープマンが手兵のアムステルダム・バロック管弦楽団&合唱団を率い、バッハの「ミサ曲ロ短調」を9月7日に大阪市北区のザ・シンフォニーホールで演奏する。「晩年のバッハが人生を振り返り、集大成として生み出した名曲です」と語る。 35歳の時に創設した管弦楽団は、来年40周年を迎える。「とても誇りに思う。創設時のメンバーは少なくなったけれど、新たに迎えた若い人たちと新陳代謝を繰り返してきた。多くを語らずとも生き生きとした音楽を作り上げることのできる仲間たちです」 バッハが数十年の歳月をかけて完成させたミサ曲ロ短調は、同楽団の最初のレコーディングにも選んだ思い入れのある曲だ。 「若いバッハと円熟したバッハが混ざり合っている。過去の自作を引用したことを『ネタ切れ』などと批判的に見る人もいるが、誤りです。彼はすべての様式をまとめて究極の作品を作ろうとしたのです」 その言葉通り、うっとり陶酔させる旋律と厳粛な構造美を併せ持つ大曲だ。 「バッハは、脳みそとハートの両方に訴えかけ、知性と感情を同時に満たす。ミケランジェロやダビンチのような天才でなければできないことです」 コープマンは、曲の生まれた当時の楽器や演奏様式に基づく古楽の第一線に立ち続けてきた。アプローチは学究的だが、生み出す音楽は愉悦に満ち、親しみやすい。インタビュー中も、いたずらっ子のような笑顔を絶やさない。古楽の人気の理由を聞くと「それは、聴けばみんな『こっちの方がずっといい!』と思うからですよ」。 「モダン楽器のオケを指揮するのも好きですが、その時も古楽に近い響きを目指し、ビブラート、音と音のつながり、表情のつけ方などに気をつけます。正しい形で聴いてもらうことに大きな責任があると思っていますから」 午後7時開演。1万4千円~5千円。ホール(06・6453・2333)。(小原篤) |
古楽の重鎮コープマンがバッハの大曲「ミサ ロ短調」
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