指揮者の小澤征爾さん(82)が28日、長野県山ノ内町の奥志賀高原ホテル森の音楽堂で、約30人の若手奏者らによる弦楽合奏を指揮した。小澤さんが公の場で指揮するのは、昨年10月、総監督を務める水戸室内管弦楽団の演奏会以来、約9カ月ぶり。
小澤さんは今年3月、大動脈弁狭窄(きょうさく)症のため入院。その月のオペラを降板した。4月に退院したが、5月の演奏会と、8、9月に長野県松本市で開かれる「セイジ・オザワ松本フェスティバル」の降板を発表。復帰を目指して自宅療養していた。
この日指揮することは公表されておらず、小澤さんの強い希望で実現したという。約300人の聴衆で埋まった客席の後方から登場し、大きな拍手に包まれながら、中央の通路を歩いて指揮位置についた。
曲はベートーベンの弦楽四重奏曲第16番第3楽章。小澤さんは、椅子に腰掛けた姿勢で、約10分にわたってきびきびと指揮した。演奏する「小澤国際室内楽アカデミー奥志賀」の受講生らに囲まれ、上体を前後に動かし力をためるような動きや、時折立ち上がって手を激しく振る動きを交えて、深く力強い音色を引き出した。
アンコールのモーツァルト「デ…