台風20号への対応で、進路上の地域では厳重な警戒が続いた。関西の都市部ではJR西日本が帰宅困難者対策で23日午後から終電時間を繰り上げ、企業は早めの帰宅を促した。7月に西日本豪雨に見舞われた被災地は、不安な夜を過ごした。
避難は素早く、難しければ上層階へ 台風に備えを
台風20号、徳島県南部に上陸 広い範囲で雨が続く恐れ
7月の西日本豪雨の被災地では、被災者らが二次災害に備えた。
豪雨で広く浸水した岡山県倉敷市真備町地区では、新たに避難所となった高齢者施設に、23日午後3時ごろから子連れの家族や高齢者らが集まり始めた。
若山真市さん(63)は、娘夫婦と孫3人ら計7人で来た。自宅は西日本豪雨で2階まで浸水し、近くの実家で暮らしていたが、実家の裏山の土砂崩れが心配になって避難した。西日本豪雨と7月末の台風に続いて、今回が3回目の避難。「直撃するかどうかわからないけど、ちゃんと避難しないといけない」と話していた。
愛媛県宇和島市吉田町では23日夕、小雨のなか、洋服店を営む土居芳子さん(57)が、友人に手伝ってもらい店の前で土囊(どのう)を並べた。店は西日本豪雨で近くの川があふれ約30センチ浸水し、土砂につかった一部の商品を廃棄した。7月末の台風12号でも土囊を置いて商品を2階に移動させた。土居さんは、「何度も台風が来るので、疲れます」と嘆いていた。
広島県坂町小屋浦地区では23日、避難所に身を寄せている沖野次郎さん(84)が、雨が吹き込まないように自宅に一度戻り、雨戸を閉めた。自宅に土砂が流れ込んだため、普段は換気のために窓は開放していた。
自宅前の道路の排水溝は土砂が詰まっている。沖野さんは「大雨が降ると道が水路になってしまう。また(家が)つかりゃせんか、それが怖い」と不安な様子で話した。
西日本豪雨の被災地に拠点がある企業も、災害への警戒を強める。マツダは広島県と山口県にある工場の操業を午後3時で中断し、夜間の操業を取りやめた。三菱自動車水島製作所(岡山県倉敷市)も午後4時ごろに生産ラインを止め、ダイハツ工業は本社工場などでこの日の夜勤をやめた。
また、豪雨で浸水したパナソニックの岡山工場は台風に備えて、持ち運べる部品を2階に移した。