北朝鮮の非核化問題をめぐり、ポンペオ米国務長官が来週初めにも訪朝する方向で調整を始めた。米朝関係筋が明らかにした。北朝鮮の要請を受けた形だという。北朝鮮が非核化の対象となるリストや行程表を示すかどうかが焦点だ。
この米朝関係筋によると、北朝鮮側は12日、板門店で会ったハリス駐韓米国大使に、ポンペオ氏の4度目の訪朝を求めたという。ポンペオ氏の交渉相手である金英哲(キムヨンチョル)朝鮮労働党副委員長が直接、ハリス氏に要請したとの情報もある。
6月の米朝首脳会談後、米国は非核化の対象となる核兵器や核物質、核施設などの詳細なリストと、非核化のスケジュールを示した行程表の提出を要求。北朝鮮は朝鮮戦争の終戦宣言を先行させるよう求め、対立が続いている。
12日の米朝接触は短時間で終わったようだ。労働新聞(電子版)は18日、「膠着(こうちゃく)状態の朝米関係は、トランプ米大統領の果敢な決断を求めている」と主張。ポンペオ氏にも「反対派の主張を退け、知恵と交渉力を発揮すべきだ」と求めた。
北朝鮮は非核化対象リストの提出は、米国の攻撃を招きかねないと懸念しているとみられる。国内では経済制裁の影響で、9月9日の建国70周年を迎えても、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の業績を十分誇示できない状態だとみられる。このためポンペオ氏の訪朝を、国内向けの業績の演出に利用しようとしているとの見方がある。(ソウル=牧野愛博)