障害者の雇用数を中央省庁が水増ししていた疑いがある問題で、国の33行政機関のうち20台後半に上る機関で障害者数の不適切な算入が行われていたことが、関係者への取材で分かった。ほとんどで雇用率が水増しされていたことになり、昨年6月1日時点の平均雇用率は1・19%まで半分以上減る見通しだ。多くの省庁などで、当時の法定雇用率を下回りそうだ。
政府は28日に関係閣僚会議を開き、厚生労働省による昨年6月1日時点の雇用実態の再調査結果を公表する。今後、弁護士らでつくる第三者委員会を設け、いつからどのような理由で水増しが起こったのかを検証するとともに、再発防止策の検討を始める。国の機関だけでなく、自治体でも同様の水増しが明らかになっているため、全国調査の実施も指示する見通しだ。
厚労省によると、従来の調査では33行政機関で計約6900人の障害者を雇用していた。個人情報保護委員会を除く32機関で当時の法定雇用率2・3%を達成し、平均雇用率は2・49%としていた。
厚労省のガイドラインでは、雇用率に算入できるのは原則、身体障害者手帳や知的障害者の療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人などとしている。
関係者によると、再調査の結果、大半の機関でこうした証明書類の有無を確認しないまま、障害者数に不適切に算入している例があった。水増しされていた機関は20台後半に達し、不適切に算入されていた障害者数は合計3千人台に上る。