東京都多摩市の建築中のオフィスビルで7月、5人が死亡した火災で、警視庁は28日、業務上過失致死容疑で、施工者の中堅ゼネコン「安藤ハザマ」本社(東京都港区)と火災現場の事務所に家宅捜索に入った。捜査関係者への取材でわかった。警視庁は、同社の防火管理態勢や施工手順などに問題がなかったかを調べる方針。
火災は7月26日午後、多摩市唐木田1丁目の地上3階地下3階建てのビルで発生。作業員5人が死亡、約40人がけがをした。
捜査関係者や同社によると、下請けの作業員2人が地下3階で鉄骨をガスバーナーで切断する作業中に出た火花が、その下の免震階の天井部分のウレタン断熱材に引火した疑いがある。1人は切断、もう1人は火花を消す役割で、初期消火にあたったが消し止められなかったという。警視庁は、地下3階の床の隙間から火花が落ちてウレタンに引火した可能性があるとみている。
安藤ハザマをめぐっては、昨年6月にも、同社が施工した東京都江東区の倉庫解体工事現場で同じ原因とみられる火災が起きている。下請けの作業員が鉄骨をガスバーナーで切断した際、火花が近くにあった断熱材のウレタンに引火。約5千平方メートルが焼け、作業員1人が全身やけどの重傷を負った。同社はこの火災を受け、工事現場で火を使う際は周囲を不燃シートで覆ったり初期消火用にバケツの水を用意したりするなどのルールを定め、社員や下請け業者も含めて現場の朝礼などで周知していたという。