台風や豪雨といった水害の危険が迫った時に、自治体や住民が取るべき行動を事前に決めておく防災行動計画(タイムライン)。国土交通省が2021年度までの策定を求めている1161市町村のうち、策定を終えたのは4割弱にあたる429市町村だったことが同省のまとめでわかった。
タイムラインは、自治体がいつ避難所を開設し、避難情報を出すのか、住民がいつ防災グッズを用意し、避難するのか、などを時系列で具体的に整理した計画。自治体と住民らで事前に共有し、迅速で適切な避難につなげる狙いがある。16年8月末に岩手県の高齢者施設で入所者9人が死亡した水害をきっかけに、氾濫(はんらん)の可能性がある中小河川を抱える1161市町村について、同省が策定を呼びかけていた。
被災地のために今できること…西日本豪雨支援通信
西日本豪雨、列島各地の被害状況は
同省によると、5月末時点で策定を終えているのは全体の37%にあたる429市町村。すべての市町村で策定済みは宮城や愛知など14都府県。策定済みの市町村がないのは奈良、大分など17道県だった。国管理の河川がある730市町村はすでに策定を終えている。
タイムラインは、堤防などハード対策では防ぎきれない水害が起こるなか、逃げ遅れを防ぐソフト対策の一つだ。ただ7月の西日本豪雨の際、策定済みだった自治体の河川沿いで犠牲者が出て、実際に住民の避難に結びつけられるかが課題になっている。また過去の災害では策定が求められていない地域で被害が出ており、危険箇所を網羅しきれているわけではない。
95年前の1日、関東大震災で10万人以上が犠牲になり、この日は「防災の日」に制定されている。(岡戸佑樹)