子どもが持つのは当たり前となった防犯ブザーだが、大人の女性の間では浸透しきれていないのが実情だ。より広い年齢層へ普及させようと、愛知県警の呼びかけに応じた企業や高校生らが「大人が持っていても恥ずかしくない」ブザーを1年かけて完成させた。様々な「持ちたくなる」工夫が製品に採り入れられている。
商品名は「Paskel(パスケル)」。横11センチ、縦8・5センチ、厚さ2・8センチの小さなポーチ型で、パスケースとブザーを一体化させている。商品は「助ける」という意味も込めて名付けた。
開発のきっかけは、県警が昨春行ったアンケートだった。名古屋市内の企業や役所で働く女性359人に聞いたところ、防犯ブザーを「持っている」と答えたのは2割以下の65人。「形がみっともない」「つけたいと思うものがない」など、外観やデザインに抵抗感が強いことが分かった。県警子ども女性安全対策課の墨修明課長補佐は「防犯講話をしても、年齢が上になるほど、ブザーを持っていない印象があった」と話す。
調査結果を受けて、県警は「大人向け防犯ブザー」の開発を民間企業などに打診。賛同者が昨夏から試作などを続けてきた。防犯ブザー製造で40年以上の実績がある「ヤサカインダストリーズ」(愛知県春日井市)の志邑(しむら)宣彦社長(52)は「『そんなに持ってもらえていないんだ』と驚いた」。同社にとっても初となる、大人向け製品の開発に手を挙げた。
ブザーがあっても、持ち歩いていなかったり、カバンの奥にしまっていたりする人もいる。普段から使ってもらえるようにと、デザインは女性がカバンにつけることが多いパスケースと一体化させることに決めた。色は服装に合わせやすいパステルカラーを基調に、8種をそろえた。
独自の機能もある。屋外などで…