米アマゾンの時価総額が、4日午前の米株式市場で1兆ドル(約111兆円)に達した。同社はネット通販や映像配信だけでなく、スマートスピーカーの販売や高級スーパーへの進出など従来の枠を超えて様々な分野で攻勢を続けている。今回の大台突破は、こうした同社の成長力への期待が米市場で高いことを如実に示すものといえそうだ。
「消費者がどこにいても、『アレクサ』を利用できるようにしたい」
アマゾンのベゾス最高経営責任者(CEO)は7月、好調だった2018年4~6月期決算の発表の際にこうコメントした。「アレクサ」と呼びかけることで起動するスマートスピーカー「エコー」や、その技術を使った機器を、世界中に広げたいという意欲の表れだった。
「エコー」やクラウド事業が好調なことを背景に、4~6月期の純利益は前年同期の13倍に。好業績は、今回の「1兆ドル超え」を下支えするものとなった。
もともとネット通販で知られてきたアマゾンは、いまやデジタル上だけの存在ではない。昨年には、米高級スーパー「ホールフーズ」の買収を発表し、リアルな店舗にも進出。最近は医療サービスにも関心を示し、その業容拡大ぶりは、他の西海岸のIT企業の中でも群を抜いている。
アップルに続いて、アマゾンが「時価総額1兆ドル」を記録したことは、米国内で改めて「FAANG(ファーング)」の存在感の大きさも印象づけた。
「ファーング」とは、フェイスブック(FB)、アマゾン、アップル、ネットフリックス、グーグルの米IT大手5社の頭文字をとった呼び方だ。「1兆ドル」の大台に乗った2社だけでなく、グーグルの親会社アルファベットの時価総額は8千億ドル超、フェイスブックも約5千億ドルに達し、ファーングは米株式市場を代表する存在になっている。(ワシントン=尾形聡彦)