米朝両国が、2回目の首脳会談に向けて調整を始めたことが明らかになった。北朝鮮の非核化をめぐる交渉は行き詰まっているが、再会談を求める金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の親書が届き、トランプ大統領が即座に応じた模様だ。米高官は「年内の可能性もある」とするが、非核化や朝鮮戦争終戦宣言の実現などの見通しは立っていない。
「とても心のこもった、前向きな手紙だった」。米ホワイトハウスのサンダース報道官は10日の会見で、トランプ氏が受け取った正恩氏の親書をこう評価してみせた。その上で、「我々は(再会談に)応じる考えであり、すでに(北朝鮮側と)実現に向けて調整している」とも語った。
北朝鮮の非核化をめぐる米朝交渉では、米側が核関連施設の申告と非核化の行程表提出を求め、北朝鮮は朝鮮戦争の終戦宣言の実現を要求。7月上旬に訪朝したポンペオ国務長官が北朝鮮から「強盗的要求」と批判されて以降、実務者協議は行き詰まっている。ポンペオ氏としては、国連の対北朝鮮制裁の維持を各国に求め、圧力を継続する方策しか見いだせていない。
北朝鮮問題に詳しいワシントンの外交筋は「米朝交渉の行方の見通しの暗さから、国務省内ではだれも積極的に動こうとしていない」と語る。8月下旬に米自動車大手フォード・モーター副社長だったスティーブン・ビーガン氏が北朝鮮政策特別代表に就任したが、訪朝も実現しておらず、実務者協議が進展するめども立っていない。北朝鮮が非核化に向けた行動をとらないなか、米政府の実務者や専門家らは2回目の首脳会談には慎重だ。
これに対し、トランプ氏はトップ会談に意欲を見せ、「私は彼(正恩氏)を尊敬し、彼も私を尊敬している」とラブコール。北朝鮮の非核化措置についても「ゆっくりやればいい」と長期化を容認する姿勢を示してきた。ホワイトハウスの元スタッフは「『予測不能』のトランプ氏は、政権スタッフの政策と矛盾する行動をとる」と語る。
トランプ氏が直感で再会談にゴ…