シェアハウス融資などで多数の不正があったスルガ銀行(静岡県沼津市)の今年6月の株主総会で、株主の大手金融機関がどう議決権を行使したかが、13日までに開示された。創業家出身の岡野光喜会長(9月に退任)や米山明広社長(同)ら11人の取締役選任議案への投票では、金融機関の間でも賛否が分かれた。
みずほ信託銀行は、岡野氏や米山氏ら9人の取締役選任に反対した。同社のガイドラインは「不祥事に責任があると認められる取締役の再任または選任に対し、原則として反対する」としている。第一生命保険も「実質的トップである会長の経営責任は重いと判断した」(広報)として、岡野氏の選任に反対した。
一方、三菱UFJ信託や三井住友信託、明治安田生命は全員の選任に賛成した。三菱UFJ信託は「総会時点では詳細な情報がなかった」(広報)という。住友生命は「開示されている情報が不十分」として一部棄権した。
金融庁は、機関投資家に示した行動規範「スチュワードシップ・コード」で、議決権行使の個別開示を求めている。これを受けて、開示に応じる金融機関が近年増えている。
総会ではすべての取締役が賛成多数で選任された。賛成率は岡野会長が71・30%、米山社長が71・74%だった。その後、不正の実態を調べていた第三者委員会の調査報告を受け、9月7日に岡野会長や米山社長ら取締役5人が引責辞任した。(柴田秀並)