右京区でヤミ民泊を経営したとして、府警は14日、下京区の旅館経営会社「CAPITAL INCUBATOR」と、社長(30)=大阪市中央区=ら男3人を旅館業法違反(無許可営業)の疑いで書類送検し、発表した。いずれも容疑を認め、社長は「ほかの施設もやっているので大丈夫だと思った。許可を取るのが面倒だった」と供述しているという。
府警によると、6月に民泊新法(住宅宿泊事業法)と改正旅館業法が施行されて以降、ヤミ民泊の立件は全国初。改正旅館業法では無許可営業に対する罰金上限額を3万円から100万円に引き上げていた。
生活保安課によると、3人は共謀して6月14~23日、京都市から旅館営業の許可を得ないまま、右京区西院西淳和院町の木造2階建て民家に、中国人とインドネシア人の計15人を宿泊させ、約14万8千円の宿代を受け取った疑いがある。
この施設は、運営会社が所有者から借り、客にまた貸し。1組が民家を丸ごと借りて泊まる仕組みで、1泊で約1万5千円だった。2016年1月から今年7月までの間に外国人観光客ら238組が宿泊し、計約1290万円の収入があった。京都市は3回警告したが、無許可営業を続けたため、今年7月に同容疑で府警に刑事告発した。
府警によると、法改正後、米の大手民泊仲介サイト「Airbnb(エアビーアンドビー)」は観光庁の要請を受け、このヤミ民泊をいったん削除。その後、書類送検された社員の男(24)が架空の許可番号を使い、再掲載させていたという。
現場は阪急電鉄西院駅から北西に約100メートルの閑静な住宅街にあり、看板や表札はかけていなかった。近所の男性(76)は「わかりづらい場所で、宿泊客に宿を案内したこともあった」。近くの主婦(69)は「夜にスーツケースを引く音が聞こえていた。届け出をしていたのかと疑問に思っていた」と話す。
運営会社の登記上の所在地は雑居ビルの1室。室内にいた男性は取材に、「社長は大学の先輩。元々ここに入っていたが、移転した。詳しいことは知らない」と話した。
京都市は、16年中の市内のヤミ民泊での宿泊者を110万人程度と推計している。市は今年1~7月、ヤミ民泊の281施設に行政指導し、うち184施設が営業をやめた。