築地市場(東京都中央区)から豊洲市場(江東区)への移転まで、あと1カ月を切った。地下の汚染問題などで開業が約2年遅れ、水産物で世界最大規模の新卸売市場がようやくスタートする。16日には使い勝手を確かめる習熟訓練も行われたが、慣れ親しんだ築地市場との違いが大きく、業者からは戸惑いの声が上がっている。
5700億円をかけて整備され、全国の水産物や青果を扱うことになる豊洲市場。利用者らが「駐車場が足りない」と不満を募らせている中、一部の施設の駐車場ではいまも改修工事が行われている。
16日は早朝から、仲卸業者や仕入れ業者ら3200人ほどが参加した大規模な習熟訓練が開かれた。工場や倉庫のような施設内で、業者が小型運搬車「ターレット」(ターレ)を実際に走らせ、荷の流れを確認。施設は温度管理に配慮した構造となっており、新しい水槽の海水を循環させていたエビ専門の仲卸の社長は「衛生面は明らかに豊洲が上だ」と語った。
築地との大きな違いは、その規模だ。面積は40ヘクタールと、1・7倍に。築地は主に低層の施設がぎゅっと集まっているが、豊洲では水産物と青果の売り場棟が公道で隔てられ、遠い。買い付けに来る客らのための巡回バスが用意されるほどで、行き来に時間がかかる。
この日は、日曜にもかかわらず駐車場に入る車が連なり、周辺が渋滞。都心と豊洲を結ぶ道路は現在1本だけで、2本目となる環状2号線は開通が豊洲開場の約1カ月後になる見込みだ。仲卸業者の一人は「荷物の出し入れで混雑し、豊洲が『時間が読めない市場』になってしまう」と指摘。「利用する飲食店やスーパーの営業に直結するため、いずれ消費者にそっぽを向かれないか」と懸念する。7月には業者向けの移転説明会で「駐車場が足りない」といった意見も出た。
約500業者が店舗を構える予…