20日のニューヨーク株式市場は、米中貿易摩擦への懸念が和らいでいることなどから、大企業でつくるダウ工業株平均が大幅に値上がりし、1月下旬以来ほぼ8カ月ぶりに最高値を更新した。終値は前日よりも251・22ドル高い2万6656・98ドルだった。
ダウ平均は3日連続での上昇。米トランプ政権が中国への高関税措置の第3弾、2千億ドル分を24日に発動すると発表したが、追加税率は年内に限り10%にとどめたほか、米アップルの腕時計型端末「アップルウォッチ」も対象から除外。事前の予測よりも影響は限られるとの見方から、投資家心理が上向いた。
ハイテク株が多いナスダック市場の総合指数も上昇し、前日比78・19ポイント高い8028・23で取引を終えた。
この流れを受けて、21日の東京株式市場も値上がりしている。午後1時時点の日経平均株価は、前日の終値より247円40銭高い2万3922円33銭。東京証券取引所第1部全体の値動きを示すTOPIX(東証株価指数)は19・15ポイント高い1806・75。中国景気に対する懸念後退から、機械や鉄鋼など景気敏感株が買われている。
米株式市場は、2016年11月にトランプ氏が米大統領選に勝利して以降、「トランプラリー」と呼ばれる上げ相場を演じてきたが、インフレ懸念が強まった今年2月に株価は急落。トランプ政権が仕掛けた中国などとの貿易摩擦を受け、不安定な値動きが続いた。一方、企業業績や米経済指標は堅調が続き、7月以降は買い戻しの動きも広がっていた。(江渕崇=ニューヨーク、新宅あゆみ)