東京都大田区の荻野稔区議(32)=日本維新の会=が、金融業者を名乗る男にキャッシュカードを郵送し、口座が振り込め詐欺に使われていたことが捜査関係者への取材でわかった。荻野区議は3日、都庁で記者会見し、「借金のためにカードを送ったが、詐欺に使われるとは知らなかった」として謝罪。警視庁は犯罪収益移転防止法違反容疑も視野に調べている。
区議の説明や捜査関係者によると、昨年2月ごろ、ネットで見つけた金融業者にメールで約100万円の借金を申し込むと、業者を名乗る男から「キャッシュカードを送ってもらえれば口座に入金してカードを送り返す」などと電話があったため、指定された住所に自分の信用金庫のカードを郵送。カードは返されず、業者とも連絡が取れなかったため、信用金庫に利用を停止してもらったという。
しかし、口座に約200万円が振り込まれており、堺市の60代女性が市職員を装う男から還付金名目でだまし取られた金だったことが大阪府警の捜査で判明。すでに都内で引き出されていたという。その後、警視庁が今年5月、区議から任意で事情を聴いていた。
荻野区議は「親族から執拗(しつよう)に借金を頼まれ、金融業者に申し込んだ。うかつにも男の言うがままにカードを送ってしまった」と釈明。「被害に遭われた方やみなさまにおわび申し上げます」と謝罪し、全額を弁償する意向を示した。同党は3日付で党員資格停止処分を決めており、区議は進退について「捜査の行方を見守ってから検討したい」と述べた。