東京都江東区のマンションで住民の加藤邦子さん(80)が殺害された事件で、室内には少なくとも計約150万円の現金が入った封筒や財布が残されていたことが、捜査関係者への取材でわかった。室内は広範囲に荒らされており、警視庁は強盗殺人事件として捜査。奪われたものがないかさらに調べている。
体縛られた遺体、事件前に「アポ電」 渋谷と同一犯か
捜査関係者によると、加藤さんの寝室の本棚から、約130万円が入った封筒と、約20万円が入った財布が見つかった。台所の棚にも、現金2万円とカード類が入った財布が残されていたという。
寝室は押し入れや天袋の扉が外され、棚のほとんどの引き出しは開けられた状態になっていた。寝室の押し入れには40センチ四方の据え置き型の金庫があったが、カバーがかかったままで開けようとした痕跡は確認されていない。
加藤さんの部屋は3階の一室で、1階玄関はオートロックではない。2月28日午前11時ごろ、全身黒ずくめで白のマスクをした男3人が数分おきにマンション内に入り、30分ほどでそろって出ていくのが防犯カメラに映っていた。男らは近くに止まっていた灰色っぽい軽乗用車に乗り込み、一方通行を逆走して走り去ったのが目撃された。警視庁は通行記録などから、この車が神奈川方面に逃走したことを確認した。車は所沢ナンバーだったという。
加藤さんは両手足を緊縛された状態で見つかり、2月中旬には知人男性に対し、事前に資産状況を尋ねる「アポ電」と呼ばれる電話が自宅にかかってきていたことを明かしていた。今年1月と2月、渋谷区でも高齢夫婦が3人組に自宅で緊縛されて多額の現金などが奪われる事件があり、いずれの家にも加藤さん宅と同様の不審な電話があった。手口などから、警視庁は同一犯の可能性があるとみて調べている。