在米日本大使館は12日、米国で日本語学習者が増えるなかで不足する日本語教師をいかに確保するかなどを話し合う「日本語教育懇談会」の初会合をワシントンで開いた。将来の親日家・知日派を育てることで、日米関係の重要な基盤にしたい考えだ。
初会合には、ワシントンのジョージワシントン大や、メリーランド州やバージニア州の公立学校で日本語を教える教員らが出席した。冒頭、杉山晋輔駐米大使は「米国における日本語教育の普及は、日本にとっての安全保障の一環と言っても過言ではない」と語った。
同大使館によると、国際交流基金が行った調査では、米国で日本語を学ぶ人は2012年の15万5939人から15年には17万998人に増加。日本のマンガやアニメの普及などが学習熱を後押ししているとみられる。
一方、米国内で日本語を教える教師は、12年は4270人だったのが、15年には3894人まで減っているという。公立学校の予算削減の影響で、日本語教師や日本語のコースが減っていることやビザの取得が厳しくなっていることなどが障壁になっている可能性がある。このため、日本語教師が辞めた場合、補充が出来ない状態にあるという。
外務省は、外国の青年を外国語指導助手などとして日本に招く「JETプログラム」を活用し、米国に帰国後、日本語教師になる考えがある青年や学生には、特別に日本語教師の養成プログラムを提供するなどの案を検討している。
また、日本の教員免許をそのまま使える特例を設けているシカゴなどの例を参考に、同様の制度の拡大を米国の各都市に働きかけていく案も出ている。(ワシントン=土佐茂生)