性暴力の被害者らが14日、都内で集会を開く。100年以上前から「同意がない性行為は犯罪だ」とみなしてきた英国を、この夏に視察した。日本でも2020年を目標に、さらなる法改正や被害者支援の充実を求めており、視察で得られた手がかりを報告する。
英国を視察したのは、性暴力被害者らがつくった一般社団法人Spring(スプリング)の代表理事・山本潤さんたちと、弁護士など。緊急対応をする公的な性暴力専門医療機関など十数カ所を、7月に訪ねた。
英国でも「同意」の判断は難しく、レイプで起訴された被告が無罪となることも多い。だが、被害届を警察が幅広く受ける態勢をとっている。「通報率を上げて実態をできる限り明らかにし、被害者が支援を受けられるようにすることと、裁判で判断することが大切だ」という警察・司法関係者の話に強い印象を受けた参加者が多かった。
性犯罪に関する思い込みを取り除くための工夫も進められている。一般市民から選ばれた陪審員が有罪か無罪かを判断する前に、判事が「女性がお酒を飲んだからといって、性交に同意したとは言えない。被害にあったらすぐ警察に行くとも限らない。被害にあったとき、叫ぶ人もいれば凍りついてしまう人もいて、反応は人それぞれ……」などと説明することも聞いた。「判事も警察官もみっちり研修をしていて、意識が違った」と山本さんは語る。
日本は昨夏、刑法の強姦(ごうかん)罪を110年ぶりに改正して被害者の性別を問わない強制性交罪に変えた。しかし、「暴行・脅迫」を犯罪の成立要件とする点は変わらず、「同意がない」ことが明らかでも、罪に問えない場合がある。改正刑法は20年をめどに、必要に応じて見直すことになっており、山本さんたちは現状を変えるため、英国視察で参考にできると思ったことを発表する。
報告会「イギリスに学んだ性暴力被害者中心の司法と支援」は、14日午後1時45分から、東京都文京区大塚のお茶の水女子大学共通講義棟2号館101。参加費は500円。詳細はSpringのサイト(
https://ameblo.jp/spring-voice-org/
)で。(河原理子)