平成と天皇 外国訪問
2000年5月24日、アムステルダムのホテル。オランダ訪問中の天皇、皇后両陛下によるレセプションが開かれた。皇后さまはマルゲリート・ハーマーさん(77)のもとへ額がつくくらい近寄って手を取り、「お会いできて、こんなうれしいことはありません」と話しかけた。
第2次世界大戦中、旧日本軍はオランダ領東インド(現インドネシア)を占領し、オランダ人を収容所に抑留し男性を捕虜として強制労働させたとされる。女性を収容所から慰安所に連行したとして、戦後のBC級戦犯裁判で有罪判決を受けた旧日本軍人もいた。
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ハーマーさんはジャワ島スラバヤ生まれ。幼いころ収容所に抑留され、戦後オランダに引き揚げた経験を持つ。村山内閣のもとで1995年、元慰安婦への「償い事業」を手がけた「女性のためのアジア平和国民基金(アジア女性基金)」が発足すると、オランダ人被害者に対する事業実施委員会(PICN)の代表になった。女性らの訴えを聞き、79人への事業支給を橋渡しした。
その中で、日本軍将校の子2人を産んだという女性と出会った。戦後結婚したオランダ人の夫と育てるつもりだったが、将校に連れ去られてしまったという。
その子2人を捜してほしい、と依頼を受けたハーマーさんは98年に来日した際に捜したが、手がかりがつかめない。前任の代表のホベルト・ハウザーさん(2014年死去)との連名で、皇后さまあてに助力を求める手紙を書いた。
そのことを皇后さまは覚えてい…