西日本高速道路の一部路線で今年4~9月、ETC(自動料金収受システム)を搭載した車の利用者から、現金でも通行料を徴収するケースが少なくとも196件あったことがわかった。同社は、二重徴収に気づいて申告した53人に計約9万7千円を返金したが、全体の件数については「作業が膨大」として調査していないという。
西日本高速によると、二重徴収を確認したのは、西名阪道、南阪奈道、阪和道、近畿道、堺泉北道の5路線。いずれもETCカードの利用明細を確認した利用者からの問い合わせで発覚したという。
ETCは高速道の出入り口と途中の料金所の計3カ所で通行区間を検知する。車載器にカードを挿入したまま途中の料金所で現金で支払った場合、出口でも課金され、二重で徴収されてしまうという。カードを挿入している場合は料金所でもETCの専用レーンを通れば適切に徴収されるとしている。
同社では今年3月まで、ETC利用者の通行記録を1件ずつ後日確認し、距離ごとの通行料金を算出して請求していた。その際に料金所で支払った人は除外していた。しかし、4月からは出口で距離ごとの請求額を知らせ、即時課金するシステムに改修したため、照合作業をしなくなった。
二重徴収になる可能性が残ることは当時から把握しており、同社はホームページや配布物などで、現金で支払う場合は車載器にETCカードを挿入しないで走行するよう呼びかけてきたとしている。同社の広報は「通行方法の広報が十分ではなかったのでさらに周知に努め、システム上で改善できるかも検討していきたい」と話している。
二重徴収に気づいていない利用者については、通行記録を1件ずつ調べれば特定できるが、「作業が膨大で困難」(同社広報)として調査しない方針という。返金の問い合わせは、同社お客さまセンター(0120・924863)へ。