83年の歴史に幕を下ろした築地市場(東京都中央区)で11日、建物の解体作業が始まった。移転先の豊洲市場(江東区)がこの日に開業した一方、荷物が運び出された築地市場内に重機が入り、駐車場の雨よけ用のひさしなどを撤去した。
都は約1年4カ月かけて、場内の155棟を解体する予定。跡地の一部を通り、都心部と豊洲市場を結ぶ都道環状2号線を来月上旬ごろに暫定開通させるため、作業を急ぐ。
築地市場は古い建物が多く、都によると55棟でアスベストを使用。都は、飛散防止剤を使いながらアスベストを撤去するという。ただし、アスベストの調査活動に携わる「中皮腫・じん肺・アスベストセンター」(東京)は「アスベストの処理の工事としては非常に大規模」として、住民や専門家と十分な協議をするよう都に要望している。
解体後、2020年の東京五輪・パラリンピックでは選手や大会関係者らの輸送拠点として使われる予定だ。