装甲車両や戦闘機などの購入コストを抑えるため、製造原価を調べて分析する防衛装備庁のデータベースについて会計検査院が調べたところ、価格の見積もりに必要な情報がほとんど登録されていないことがわかった。検査院は15日、同庁に対し、改善を求めた。
検査院によると、装甲車両などの防衛装備品には市場価格がなく、メーカーの見積もりに従って購入しているのが現状。価格の妥当性を判断し、コストを抑えるため、国は2年前に約2億3千万円かけてデータベースを整備した。
検査院は、既に購入契約が済んだ約1300件についてデータベースの入力状況を調査。すると適正に見積もりができるだけの細かい部品の原価や作業代金が入力されていたのは全体の約1割のみで、残りは大枠のデータしか入力がなかったという。検査院は「メーカー側に詳細なデータを提供してもらえるよう協力を求めるなど十分に調整しなかった」とみている。
現在、データベースは試験運用中で、防衛装備庁は2022年度からの本格運用を目指している。検査院は「このままでは本格運用は困難」と指摘。同庁は「今後、改善に向けて検討を行う」としている。(高橋淳)