京都府と兵庫県の北部を結ぶ「京都丹後鉄道(丹鉄)」が、様々なアイデアで経営の立て直しに奮闘中だ。全国有数の赤字路線を引き継ぎ、運行を担うのはピンクの高速バスで知られる「WILLER(ウィラー)」(大阪市)グループ。高級感のある独立シートなど斬新な発想でバス業界を牽引(けんいん)してきたが、ローカル鉄道の姿を変えることはできるか。
テツの広場
10月5日、丹鉄の観光列車「丹後くろまつ号」の新たな企画の運行が始まった。沿線の京都・舞鶴のレストランが特別コースを振る舞い、今回は初めて地元産ワインや地酒の飲み放題も用意した。鹿児島市から初めて参加した小川理恵さん(56)は「海岸線の景色もきれいで、またぜひ来たい」と話した。
日本三景の一つ、京都・天橋立なども沿線に持つ丹鉄。総延長114キロの鉄道の運行を2015年4月から、ウィラー傘下の「ウィラー・トレインズ」(京都府宮津市)が担う。
丹鉄はかつて、「北近畿タンゴ鉄道(KTR)」として京都府や沿線自治体などが出資する第三セクターによる全国最大の赤字路線だった。沿線の人口減などで経営が行き詰まり、施設保有と鉄道運行を別会社にする「上下分離方式」によって、運行事業者にウィラーが名乗りをあげた。
ウィラーは1994年に創業した西日本ツアーズが前身だ。06年に高速バス事業に参入すると、インターネット予約を業界でいち早く導入。鉄道などに比べて安さが売りだった高速バス業界で、隣同士が女性になるように座席を割り振り、座席自体も快適さを追求するなど、女性客の需要を掘り起こしてきた。
「交通革新」を掲げるウィラー…