柔道の創始者で、日本人初の国際オリンピック委員会(IOC)委員だった嘉納治五郎の生誕祭が25日から4日間、東京都文京区で開かれる。講道館では、日本が初参加した1912年ストックホルム五輪の参加メダルやプログラムなど、約1世紀前の五輪の概要が垣間見える資料を公開。2020年東京五輪・パラリンピックを前に貴重な機会となりそうだ。
「近代五輪の父」と呼ばれるクーベルタン男爵の働きかけで、嘉納がアジア初のIOC委員に就任したのが1909年。以後、38年にエジプト・カイロでのIOC総会からの帰国途中に氷川丸の船中で77歳で死去するまで、柔道の発展とともに日本の五輪運動の啓蒙(けいもう)に生涯を捧げた。
今回、五輪関係で展示されるのは10点。日本選手団の初めての入場行進となるストックホルム五輪開会式のパネルを見ると、総勢は6人。嘉納が団長で、出場選手は旗手を務めた陸上短距離の三島弥彦と、顔が日の丸に隠れているが、「NIPPON」のプラカードを持って地下足袋を履いたマラソンの金栗四三の2人。ここから日本勢の五輪の歴史が始まった。
当時の陸上のプログラムには2人が出場する400メートルとマラソンの日程も手書きで書き込まれている。そのほか、36年のベルリン五輪までの記念メダルや嘉納が愛用したIOC委員バッジ、五輪の開会式などで必ず使っていたシルクハットなどもある。
講道館では「柔道だけではなく、五輪全般に関心のある方にも興味を持って頂けると思う。最終日には嘉納師範と五輪に特化した記念講演とシンポジウムも企画している」と話している。入場無料。