漫画「スラムダンク」の作者・井上雄彦さん(51)とバスケット選手の対談企画も3季目に突入。新シーズンの第1回は、日本国籍を取得し、日本代表としても活躍する川崎ブレイブサンダースのニック・ファジーカス選手(33)です。
特集:B.LEAGUE 主役に迫る
井上 今年4月、日本国籍を取得しましたね。なぜ日本人になることを選んだのですか。
ファジーカス すこしでも長く日本でプレーを続けたいと思い、取得しました。来日して7年目。私も妻も、ここでの生活をとても気に入っています。街はきれいで安全だし、みんな親切で温かい人たちばかり。たまに米国へ行くと、日本が恋しくなるくらいです。
井上 早速日本代表に選ばれ、6月にはワールドカップ(W杯)のアジア地区1次予選で、世界ランク10位と格上の豪州を初めて破りました。その試合でチームトップの25得点。日本のバスケファンは、あなたの国籍取得を本当に喜んでいると思います。
ファジーカス 代表チームでプレーすることは光栄で、それだけでわくわくします。しかも、W杯予選という舞台でしたから。負けると、予選突破が厳しくなる試合でした。勝てて良かったです。
日本代表には、田中大貴(アルバルク東京)や富樫勇樹(千葉)ら素晴らしい選手がそろっています。対戦国は彼らをフリーにするわけにいかないから、私を2人がかりでマークするような作戦はとれません。守備の選手が1人しか自分に付かないのは、おそらく来日1年目以来だと思います。そういう状況でプレーできる喜びもありますね。
井上 高さや得点力以外に、あなたが日本代表にもたらしたものがあるとすると、何だと思いますか。
ファジーカス 希望、ではないでしょうか。普段プレーする川崎も、私が加入する前年度は、当時のリーグで最下位でした。そこから優勝するまでにチームは成長した。代表の選手たちも、今回感じてくれたと思います。「ニックに付いていけば、勝てる」と。
井上 豪州戦を会場で見ていて強く感じたのは、あなたがチームに与えている自信の大きさでした。
ファジーカス 川崎で一緒の辻…