大リーグは今季の最後を締めくくるワールドシリーズ(WS)が23日(日本時間24日)に開幕する。1903年の第1回WSを制したレッドソックスと、1884年に創設されたドジャースとの伝統球団対決。レッドソックスのアレックス・コーラ監督(43)と、ドジャースのデーブ・ロバーツ監督(46)にも、浅からぬ因縁がある。
堅実な内野守備でならしたコーラ監督は、1998年から04年までドジャースに在籍。05年途中から08年までレッドソックスでプレーした。07、08年時は、松坂大輔(中日)がチームメートでいた。
ロバーツ監督は沖縄生まれで、母が日本人。現役時代は俊足の外野手だった。02年から04年途中までドジャースに所属。レッドソックスへ移り、シーズン終了まで在籍した。
WSで対戦する監督同士が、両方のチームで選手経験があるのは大リーグ史上初めてだ。しかも、ドジャース時代はチームメートだった2人。コーラ監督は「彼はいつでも試合に熱中していた」と懐かしむ。
レッドソックスのファンが、「ザ・スチール」とたたえる一つの盗塁がある。ロバーツ監督がレッドソックスの選手だった04年、ヤンキースとのア・リーグ優勝決定シリーズ第4戦で決めた盗塁だ。当時チームは白星なしの3敗。1点を追う九回、代走のロバーツが二盗を成功させると、後続の適時打で同点のホームを踏んだ。これをきっかけに流れが変わり、レッドソックスは86年ぶりのWS制覇まで駆け上がった。
レッドソックスとの対戦が決まった20日(同21日)、ロバーツ監督は記者会見で言った。「レッドソックスと(本拠の)フェンウェイパークには懐かしい思い出がある。別のチームのユニホームを着て、あそこでWSに臨むのは、私にとって特別だ」。地元チームへの熱い思いから、対戦相手には激しいブーイングを見舞うのが大リーグだが、2人の監督はボストンとロサンゼルス、両都市のファンから温かい拍手で迎えられるだろう。(ボストン=山下弘展)