交際していた女性(当時21)を自宅で殺害したとして、殺人罪に問われた大阪市の男性被告(40)の控訴審判決が31日、大阪高裁であった。村山浩昭裁判長は「女性の死因を窒息死とした一審判決の認定は合理的な疑いが残る」として懲役9年(求刑懲役18年)とした一審・大阪地裁判決を破棄し、無罪を言い渡した。
男性は2014年7月、大阪市北区のマンションで、交際相手の女性の首を手や腕で絞め、窒息死させたとして起訴された。17年3月の一審・大阪地裁判決は女性の遺体に首を絞められたような痕があることや法医学者の証言などから、男性が柔術の絞め技をかけて窒息死させたと認定し、「死因は危険ドラッグの吸引」とした弁護側の無罪主張を退けた。
弁護側は控訴審で、女性の死因について、危険ドラッグの吸引に加えて、男性から絞め技をかけられたことによるストレスが引き起こした突然死の可能性を指摘。絞め技は危険ドラッグの影響で暴れた女性を制止しようととっさにかけたものだったとして無罪を主張していた。
村山裁判長はこうした弁護側の主張をおおむね認め、男性が絞め技をかけたことについて「殺人の実行行為とは言えない」と結論づけた。(大貫聡子、多鹿ちなみ)