日本銀行は31日の金融政策決定会合で、現在の金融緩和策の「現状維持」を決めた。長期金利の誘導目標は「ゼロ%程度」、金融機関から預かるお金の一部につけるマイナス金利は年0・1%で据え置く。米中貿易摩擦の悪影響が懸念され、株価下落も目立つが、現在の政策の効果を見守る。また、改訂した経済・物価見通しでは、主に物価上昇率の見通しを小幅に下方修正した。
長短金利操作と、当分の間は今の超低金利を維持するとした「フォワードガイダンス(先行きの指針)」については、政策委員9人(総裁、副総裁2人、審議委員6人)のうち7人の賛成多数で現状維持を決めた。原田泰、片岡剛士の審議委員2氏は見直しを求めて反対した。上場投資信託(ETF)など国債以外の資産買い入れ方針は全員一致で維持を決めた。
3カ月ごとにまとめる「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」も見直し、2018年度の物価上昇率の見通しは、今夏前までの伸び悩みを受けて従来の1・1%から0・9%へ下方修正。実質経済成長率の見通しも1・5%から1・4%へ下方修正した。19年度の物価上昇率は1・4%、20年度は1・5%と、いずれも従来の見通しから0・1%幅引き下げた。経済成長率は据え置いた。
黒田東彦(はるひこ)総裁が31日午後に記者会見して、決定内容などについて説明する。(湯地正裕)
日銀の新たな経済・物価見通し
【実質成長率】
18年度 1.4%(1.5%)
19年度 0.8%(0.8%)
20年度 0.8%(0.8%)
【物価上昇率】
0.9%(1.1%)
1.4%(1.5%)
1.5%(1.6%)
※いずれも前年度比。物価上昇率は生鮮食品と消費増税の影響を除く。かっこ内は従来見通し