5年半の沈黙破り「心の叫び」 白川前日銀総裁の真意は——贯通日本资讯频道
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5年半の沈黙破り「心の叫び」 白川前日銀総裁の真意は

白川方明(まさあき)・前日本銀行総裁が辞任から5年半を経て沈黙を破った。10月22日、日本記者クラブで記者会見し、断り続けてきた金融政策への取材に初めて応じた。現在の異次元緩和への直接的な批評は避けつつ、「金融政策では、日本経済の根本問題を解決できない」と強調。今月出版された著書の内容も合わせ、かつて日銀を担当した記者がその「心の叫び」を読み解いた。(大日向寛文)


「日銀をやめて5年半が経つが、マスコミを前にした講演やインタビューは全てお断りしてきた」。白川氏は会見でそう切り出した。その10日前、800ページに迫る大著「中央銀行 セントラルバンカーの経験した39年」(東洋経済新報社、税込み4860円)を出版したばかり。当初は出版に否定的だったという。会見ではこう語った。「何を書いても自己弁護や他人への批判と誤解される」


なぜ考えを変えたのか。白川氏は「中央銀行のあり方について、社会全体としてもっと議論を深める必要がある。議論に一石を投じたい」と話した。


私が会見で最も注目したのは、白川氏が後任の黒田東彦(はるひこ)総裁の異次元緩和をどう批判するかだった。質問に「直接的なコメントは控えたい」とかわしつつ、こう続けた。「過去5年の経験が示すように、日本経済が直面している問題の答えは、金融政策にはないということは明らかだ」


「過去5年」は黒田氏が異次元緩和を実施した期間と重なる。この発言は「異次元緩和は、日本経済の問題に適切に対処する政策ではない」と述べたに等しい。


それまでは会場に語りかけるようだった白川氏だが、この発言の時は手元のメモを読みあげるように視線を移した。事前に質問を想定し、練りに練った回答だったように見えた。


白川氏は08年4月~13年3月まで5年弱にわたり総裁を務めた。在任期間の後半、私は日銀や財務省担当の記者として会見などで発言を見続けた。その印象は理詰めで淡々と発言する「学者肌」。今回の著書でもその印象は変わらないが、明らかに違うトーンで書かれた章があった。安倍政権発足直後、13年1月に政府と日銀が結んだ共同声明をめぐる17章。最多の47ページが割かれている。


12年12月に第2次安倍政権が発足し、安倍晋三首相は「アベノミクス」で大胆な金融緩和を掲げ、政府と日銀がともに「物価上昇率2%」を目指すことを求めた。一方白川氏は物価目標の設定に反対だった。共同声明で「物価目標2%」は受け入れたが、達成時期は「できるだけ早期に実現することを目指す」との表現にとどめた。


著書のこの章では、政治と日銀とのせめぎ合いについて触れ、日銀の独立性を定めた日銀法改正について「恫喝(どうかつ)的発言が繰り返された」など、感情をむき出しの言葉が並ぶ。著書の中でも異色で、まるで信念を曲げさせられた白川氏の悲痛な叫びのように、私には思えた。


白川氏の辞任後、黒田氏はあっさり「2年程度で2%を達成する」と宣言し、異次元緩和を始めた。それから5年以上がたっても2%の達成は見えない。


緩和を終える「出口」にいつ向かえるのか。質問への白川氏の答えは歯切れが悪かった。「白地に絵を描くことができれば、いろいろな議論ができる。しかし、白地に絵は描けない」


異次元緩和による超低金利で企業の投資を促そうとしても限界がある。一方、低金利に慣れた政府は予算の拡大を続ける。国の借金は1千兆円を超え、わずかな金利上昇が巨額の利払い増になる綱渡りの財政だ。白川氏は会見で「出口の問題の本質は、財政の持続可能性であり、さらにその背後にある日本の持続可能性だ」と述べた。


バブル崩壊後、日本経済の長期低迷が続くなか、「日銀が物価が下落するデフレを放置していることが原因」とする議論が繰り返された。だが、白川氏は会見で「物価が上がらないことが低成長の原因ではない」と指摘した。むしろ国内総生産(GDP)を働き手(15~64歳)1人当たりでみると世界でもトップクラスで、「成長パフォーマンスは相対的には健闘した」と言う。


そして、低成長が続く真の原因は「急速な高齢化や人口減少が確実に予想される中で、日本の経済、社会が十分適合できていないこと」だとした。例えば、高齢化で膨れる社会保障費をどう抑えていくのか。人口減が直撃する地方と首都圏での財源格差の拡大をどう埋めていくのか。


白川氏は「誰か強力なスーパーマンが出てきて、快刀乱麻で問題を解決することは無い」という。「不都合な事実」に目をそむけず、痛みを冷静に論じられるのか。政治家だけでなく、我々マスコミも問われているのだと思う。


白川総裁就任後の金融政策の動き


2008年4月 白川方明氏が総裁就任(国会同意人事の混乱を経て副総裁から昇格)


9月 米リーマン・ブラザーズが破綻(はたん)


10月 米欧など6中銀が協調利下げ


政策金利を0.5%から0.3%へ引き下げ


12月 政策金利を0.1%へ引き下げ


10年10月 包括的緩和策を導入。ゼロ金利復活


11年3月 東日本大震災


10月 円相場が1ドル=75円32銭と戦後最高値に


12年12月 第2次安倍内閣発足


13年1月 政府と日銀が共同声明


3月 白川氏が任期満了前に辞任。アジア開発銀行総裁(元財務官)だった黒田東彦(はるひこ)総裁が就任


4月 異次元緩和開始


14年10月 追加緩和


16年1月 マイナス金利導入を決定


9月 長短金利操作を導入


18年4月 黒田総裁が再任


物価2%目標の達成時期を削除


7月 緩和策を修正、一定の金利上昇容認


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