異次元緩和を続けたまま世界経済危機を迎えたら、どうなるのだろうか――。日本銀行にそんな問いが突きつけられそうな世界経済の情勢下、当面の金融政策を決める金融政策決定会合(年間8回開催)が2日間にわたって開かれ、31日昼、異次元緩和政策の現状維持が発表された。
「物価上昇率2%」の目標達成のため、国債の大規模な買い入れやマイナス金利、長期金利操作を繰り出し、緩和手段を出し尽くしているとされる日銀。それでも目標は達成できず、緩和を終える出口は遠い。
出口が見えない中で、世界経済は不穏なムードが漂い始めた。今後何らかの大きな経済ショックが起きたとき、そこまでいかなくとも、米中貿易摩擦の余波で景気後退に陥ったとき、日銀に打つ手はあるのか。そうした疑問に黒田東彦(はるひこ)総裁は答えるべき局面にある。午後3時30分から記者会見する。
日銀は2013年春の異次元緩和のスタート以来、「短期決戦型」としてきた戦術を今年7月末の決定会合で、「長期戦型」に切り替えたばかり。超緩和策を少なくともあと数年は続けていく構えだ。
日銀が想定してきたのは米国中心に世界経済の好調さがまだ続く、という楽観シナリオ。世界好況が続くかぎり、日本の輸出産業も外需で下支えされている。さらに米国の中央銀行、連邦準備制度理事会(FRB)の利上げが続くので、ゼロ金利状態の日本との間で日米金利差が広がる。いまの円安ドル高傾向が維持されるので、二重の意味で企業業績が支えられる。
とはいえ、米国ではトランプ大…