地域によっては、住宅のすぐそばまで張り巡らされている用水路。流れが緩やかで、幅が数十センチしかないところでも、多くの人が亡くなっている。なぜ、こういった場所で亡くなってしまうのだろうか。
「溺死の場合、ほとんどは顔が横か下のうつぶせの体勢。転落で首の骨を折るなどして動けなくなると、水深が10センチ程度でも水を吸い込んで死に至る」。用水路での死亡事故に詳しい奈良県立医科大の羽竹勝彦教授(法医学)は指摘する。
羽竹教授によると、08~17年の10年間に県内の水路で見つかった70人の遺体の解剖結果を分析すると、現場の水深の平均は約13センチしかなかった。死因は、溺死が半数以上を占め、脳挫傷や頸髄(けいずい)損傷などの外傷が続いた。
実際、水量が少なく、規模が小…