東海、北陸地方を中心に約230店のドラッグストアを展開する「ゲンキー」(本社・福井県)が、納入業者に対して従業員の派遣を強要したり、不当な返品を求めたりしていた疑いがあるとして、公正取引委員会は7日午前、独占禁止法違反(不公正な取引方法)の疑いで、同社への立ち入り検査を始めた。
独禁法は、大規模小売業者などが納入業者に対する優越的な地位を利用して、従業員の派遣や商品の返品を強要することを禁じている。
関係者によると、同社は新規開店や店舗改装の際、商品の仕入れ先の卸売業者やメーカーに従業員の派遣を求め、商品の入れ替えなどを手伝わせていた疑いがあるという。昼食代などを除き、正当な報酬は支払われていなかったとみられる。また、納入業者から購入した食料品などが売れ残った場合、納入業者に引き取りを強要して不当に返品していた疑いもあるという。
同社は1990年設立で、医薬品のほか、食料品を取り扱うなどして業績を伸ばしている。信用調査会社などによると、2017年6月期の売り上げは約820億円、従業員は約700人。同社は取材に「調査に全面的に協力している」と答えた。(小寺陽一郎)