偽造した1万円札を神社で使ったとして通貨偽造・同行使罪に問われた無職、広田千尋被告(41)=福岡県飯塚市=の裁判員裁判の初公判が7日、福岡地裁であった。広田被告は起訴内容を認め、「生活に困り、神様が助けてくれると思った」と神社を狙った理由を語った。
神社で偽1万円札、容疑の男逮捕 福岡周辺で被害相次ぐ
起訴状によると、広田被告は3月28日ごろから4月12日ごろまでの間、飯塚市内で1万円札をカラーコピーして本物の札から切り取ったホログラムを貼り付けて偽札を作り、太宰府天満宮など県内5カ所の神社で計10枚を使ったとされる。
検察側は冒頭陳述で、広田被告にはFX(外国為替証拠金取引)などで借金があり、生活に困っていたと指摘。神社で1千円程度のお守りを買い、おつりをもらう手口で計約9万円を手にしたと述べた。弁護側は「被害弁償を申し出ており、反省している」と主張した。
広田被告は被告人質問で、太宰府天満宮で偽札を使う前に「神様に助けてほしい、偽札を使うことを許してほしい」と祈り、手を合わせたと説明。一方、お守りはゴミ箱に捨てるなどして処分したとも語った。
起訴内容以外に5カ所の神社で6万円分の偽札を使ったことも明かし、「何て罰当たりなことをしたのかと後悔している」と述べた。(一條優太)