政府が待機児童対策の切り札として始めた企業主導型保育所事業で、助成金を支給された2社が経営難で保育所を開所できず、施設整備に使われた助成金が返還されていないことが、運営主体の公益財団法人「児童育成協会」(東京)への取材でわかった。関係者によると、数千万円にのぼるという。協会は返還を求めているが、めどは立っていないという。
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企業主導型保育所は、待機児童解消や仕事と子育ての両立を支援するため、国が2016年度に導入した。認可外の保育施設だが、面積基準など一定の条件を満たせば、整備費や運営費を国が助成する。同協会が審査や助成金の支給、指導を担っており、17年度は全国の2597施設(定員5万9703人分)が助成を受けた。今年度予算は約1700億円。
協会によると、助成金が返金出来なくなっているのは、沖縄県のコールセンター業「CFO」と、名古屋市の貸し会議室運営「ファイブフロッグス」。16年度に設置申請をしたが、いずれも経営難になり、開所されなかった。
CFOが申請した「あいらんど保育園 沖縄園(仮称)」(定員19人)は、昨年2月に助成が決まり、同年7月に開所予定だった。昨年末になっても開所せず、CFOは協会に「工事が遅れている」と説明。今年に入って代表者と連絡がとれなくなり、協会職員が今年2月に施設を訪問したところ、保育園は壁が塗装されるなど児童向けに内装は整えられていたが、誰もおらず、看板もなかったという。
その後、代表者が破産申し立て…