12年前、東京都内の自宅で生後11カ月の娘に暴行を加えて死亡させたとして、警視庁は相模原市南区当麻、父親の自称会社員堀田伸輔容疑者(42)を傷害致死の疑いで逮捕し、8日発表した。堀田容疑者は当初の調べに事故だと説明していたが、虐待の疑いが強まったとして今年、改めて本格的に捜査。今月、事情を聴いたところ「いらいらしてやった。罪を償いたい」と容疑を認めたという。
捜査1課によると、逮捕容疑は2006年12月30日午前10時~正午ごろ、当時住んでいた東京都新宿区新宿7丁目のマンション室内で、娘の桜井亜衣ちゃんに暴行を加えて頭の骨が折れるなどのけがを負わせ、約2カ月後の07年3月9日、搬送先の病院で硬膜下血腫などに基づく気管支肺炎で死亡させたというもの。
亜衣ちゃんは堀田容疑者の当時の妻と、前夫との間の子ども。妻は外出中で、堀田容疑者が119番通報していた。司法解剖で頭蓋骨(ずがいこつ)骨折などが確認され、新宿署が捜査を続けていた。堀田容疑者は当初と12年の調べに対し、「こたつから落ちた」などと説明していたという。
事件後、乳児虐待に関する多くの知見が得られるなか、今年3月から改めて医師らに見解を求め、こたつは高さ約40センチだったが、この高さから落ちた際につく傷と亜衣ちゃんの外傷には矛盾があり、もっと大きな衝撃が加えられた疑いがあるとの意見が出された。
当時の司法解剖で判明していた免疫に関わる臓器「胸腺(きょうせん)」の萎縮が虐待を受けた子どもに見られるものだということもわかり、捜査1課が改めて捜査し、今月4日から堀田容疑者に事情を聴いたところ、「これまでの説明は違う」と述べ、暴行を認めたという。
傷害致死罪の公訴時効は2010年に10年から20年に延長された。施行時点で時効が完成していない事件についても適用される。