死刑確定後に別の2件の殺人事件への関与を告白し、新たに殺人罪に問われた元住吉会系暴力団組長・矢野治被告(69)に対する裁判員裁判の初公判が12日午前、東京地裁で始まった。矢野被告は罪状認否で「私は殺していない」などと述べ、弁護側は無罪を主張した。
確定死刑囚が裁判員裁判で被告になるのは初めて。刑法は「死刑を執行すべきときは、ほかの刑を執行せず」と定めており、今回の裁判の結果に関わらず「死刑囚」の立場は変わらないという異例の公判となる。
1件目の起訴内容は、実行役を含む3人と共謀して1996年、神奈川県伊勢原市で不動産業の津川静夫さん(当時60)を殺害したというもの。検察側は冒頭陳述で、再開発計画があった津川さんの土地の利権を得るため、殺害を計画したと主張した。矢野被告は「津川さんのことは名前すら知らない。間違いです」、弁護側は冒頭陳述で「死んだことや遺棄したことは後で知った」と反論した。
2件目は、98年に東京都豊島…