明治神宮大会は11日、高校の部の準々決勝があり、2015年の優勝校・高松商(四国・香川)が八戸学院光星(東北・青森)を9―6で下した。高松商の176センチ、85キロの4番・立岩知樹(2年)が八回にだめ押しの3ランを放ち、意地を見せた。
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三回までに6得点。好調な打線の中で、立岩は相手投手の変化球にてこずり、2連続三振。四回の第3打席も三ゴロに倒れた。
試合に出たい一心で、バットを振ってきた。投手ではないが、背番号「11」をつける立岩は、代打や守備固めでの試合出場が多かった。試合に出られなくても、全体練習後に帰りの電車の時間まで毎日2時間近く居残り、バットを振った。そうして磨いたスイングを、長尾健司監督は「大振りせず、コンパクトに振れる」と評価。四国大会から4番で起用された。
この日、試合中のグラウンド整備の間も、ベンチ前でバットを振った。八回、1死一、二塁の好機で打席が回る。ベンチからは、ポジションを競う背番号「3」の岡井祐斗(2年)の代打を期待する選手たちの声が聞こえてくる。
だが、長尾監督は、下を向かず「いきます」と訴えかける立岩の目を見て信じた。「詰まっていいから、引きつけていけ」と、打席へ送り出した。
「そろそろ打たないと4番として情けない」。直前、3番の香川卓摩(同)に4球連続でボール球が投じられるのを見ると、プライドに火がついた。初球の直球に反応した。打球は浮き上がり、そのまま右翼席へ。練習試合も含め、高校で初の本塁打。「うれしかった」と、前を走る香川に追いつく勢いでダイヤモンドを駆けた。
「残って練習を続けてきてよかった。次は球の速い良い投手がいるチームとの対戦だが、しっかり勝って、(優勝した3年前の)先輩たちに続きたい」。150キロ右腕の奥川を擁する星稜(石川)との準決勝に向け、意気込んだ。(高岡佐也子)