死刑確定後に告白した2件の殺人事件で逮捕・起訴された元住吉会系暴力団組長・矢野治被告(69)に対する裁判員裁判の初公判が12日、東京地裁であり、矢野被告は無罪を主張した。確定死刑囚が裁判員裁判の対象になるのは初めて。7回の公判を経て、12月13日に判決が言い渡される。
検察側は冒頭陳述で矢野被告について①再開発計画があった神奈川県伊勢原市の土地の利権を得るため、所有者だった不動産業・津川静夫さん(当時60)を実行犯らと共謀して1996年に殺害②不動産会社社長・斎藤衛さん(当時49)に貸した約8600万円の返済をめぐり、98年に斎藤さんを3日間監禁したうえで絞殺した――と主張した。
また、前橋市のスナックで起きた銃乱射事件(03年)で14年に死刑が確定した後、警視庁に「犯行を告白する手紙」を送り、取り調べには「自分が斎藤さんの首をネクタイで絞めた」と供述した経緯も明らかにした。
一方で矢野被告は、津川さんについて「名前すら知らない」、斎藤さんについては「殺していない。ただし殺させた」と述べ、いずれも無罪を主張した。
津川さんと斎藤さんの遺体は16年、矢野被告や別の組員の供述をきっかけに見つかった。ただ、殺害の具体的な方法や死因は特定されておらず、殺人罪の立証は容易ではない。(阿部峻介 阿部峻介)
■検察幹部「延…