北九州市議8人が6月にスペインとフィンランドを訪れた海外視察への公金支出は不当だとして、市民オンブズマン北九州の会員ら市民16人が16日、市議8人に計約800万円を返還させるよう北橋健治市長に求める住民監査請求をした。
北九州市議会、海外視察廃止へ 昼間の飲酒に批判が殺到
海外視察中の飲酒シーンがテレビ放映 市議会に批判殺到
請求書では、海外視察が許されるのは「職責を果たす上で合理的な必要性がある場合に限られる」と指摘。調査項目より前に派遣先が決まっており、視察時間は約10時間で、報告書は他の資料からの転用だったなどと主張し、「合理的必要性がないことは明らか」として市監査委員会に監査を求めた。
同行した市職員2人分も含む視察経費約800万円を議員1人あたり約100万円ずつ返還させるよう、北橋市長に求めている。
この視察では一部の市議が昼間に飲酒するなど不適切な行為が明らかになり、市議会が海外視察のあり方を見直すきっかけになった。オンブズマンの天久泰弁護士は「これまでは請求をするだけの証拠がなかったが、テレビ報道によって視察目的を疑わせる実態がわかったので監査請求した」と話した。井上秀作議長は同日、「監査委員から意見があれば重く受け止める必要がある」とのコメントを発表した。
また、オンブズマンの会員6人は同日、市立斎場の残灰処理のため市が業者に払った5年分計5円の業務委託料を、北橋市長が市に返還するよう求める監査請求もした。残灰には資源価値のある金銀などが含まれており、他の自治体のように指名競争入札をして市の収入確保を図るよう求めている。(井石栄司)