「やっぱ好きやねん」などのヒット曲で知られ、「関西の視聴率男」と呼ばれた故・やしきたかじん。その歌手としての下積み時代を描いたスペシャルドラマ「なめとんか やしきたかじん誕生物語」が、20日午後7時から関西テレビで放送される。
10代から亡くなるまでを、40歳の駿河太郎が1人で演じ分ける。父の笑福亭鶴瓶はたかじんと交流があり、今回のドラマでは2人の友情も描かれる。
駿河は、病に侵された晩年の姿に近づこうと、8キロ減量して撮影に挑んだという。駿河は「関西でたかじんさんを演じるのは、楽しみな半面、かなりのプレッシャー」とこぼしていた。
自身も20代の頃、バンドマンとして音楽の道を志した過去がある。「たかじんさんの人生だけど、半分、自分のことのよう。(売れない時期の)悔しい気持ちはよく分かる」と語った。
劇中では「東京」「ゆめいらんかね」など約15曲を披露し、親友役の大東駿介から「(カバー曲の)CDを出したらいいのに」と言われる出来栄えとなった。
脚本は本人の著書や当時を知る人への取材を元に練り上げ、売れない若手時代に焦点をあてている。さらに複数の実在の人物を重ね合わせたキャラクターを創作するなど、親しみやすいフィクションに仕上げた。
制作スタッフの多くが、番組「たかじん胸いっぱい」などを通して本人と親交があり、思い入れもひとしおだ。木村弥寿彦(やすひこ)プロデューサーは、爪をかむクセやたばこの吸い方などたかじんさんの生前の姿を思いだし、演出に生かした。「豪快なイメージが強いけれど、人に優しく、きちょうめんなところもある人だった。人々に愛されるたかじんさんが、どうやって誕生したのかを伝えたい」(杢田光)