「地価が上がる」といった誘い文句で値上がりの見込みがない山林などを買わされた「原野商法」の被害者らに「土地を高値で買い取る」などと持ちかけて現金を詐取したとして、警視庁は28日、準暴力団関係者の30代の男ら十数人を詐欺の疑いで逮捕した。捜査関係者への取材でわかった。
警視庁は、高齢化などに伴って土地の処分に困った原野商法の過去の被害者らが狙われ「二次被害」に遭った疑いがあるとみている。詐取金の一部が暴力団に流れていた可能性もあるとみて実態解明を進める。
原野商法とは
値上がりの見込みがない原野を「地価が上がる」などとだまして買わせる手口で、1970年代から80年代にかけて急増した。
捜査関係者によると、男らは2016~18年ごろ、過去に原野商法で栃木県などの土地を購入させられた被害者ら数人に「土地を高値で買い取る」などとうそを言い、整地代や登記手続き費用などの名目で計数百万円を詐取した疑いがある。警視庁は同様の手口で全国の数十人から数億円以上を詐取したとみている。
男らは大手不動産会社を連想させる「野村ハウジング」(東京都港区)などの実体のない不動産会社を名乗り、電話をかけたり自宅を訪れたりして「近く開発がある」「太陽光パネルを設置したい」などと、土地の買い取りや転売を持ちかけていた。実在する公益社団法人「全日本不動産協会」(東京都千代田区)のパンフレットを示して「入会している」などとうそを言い、信用させることもあったという。
また「土地を買い取る」と持ちかけながら、契約書は、さらに別の土地を買わせてから交換するとの内容で、買わせた土地の価格の方が高く設定されていたとされる。被害者側からはその差額を整地代などの名目で詐取していたという。
■「渡りに船で飛びついてしまっ…