日産自動車の前会長カルロス・ゴーン容疑者(64)の逮捕というニュースが世界を駆けめぐる中、「人質司法」との指摘が根強い日本の刑事司法制度に、改めて注目が集まっている。否認するほど勾留期間が長引く傾向や、取り調べに弁護士が立ち会えないことが批判の対象になっている。
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「全てにおいて無実だ」
ゴーン前会長が逮捕されて10日目の28日。勾留されている東京都葛飾区の東京拘置所前で、接見を終えたとみられる駐日レバノン大使らが報道陣に訴えた。
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ゴーン前会長の両親はレバノン人だ。同国のバシル外務・移民相は27日、山口又宏・駐レバノン大使をベイルートの外務省に呼び、「重大な関心を持っている。早急に捜査を終えてほしい。家族との面会を認めるなど、人権に配慮してほしい」と要請したという。
「拘束期間は最長で20日間以上」「取り調べに弁護士の立ち会いもできない」――。欧米メディアでも、日本の刑事司法のあり方に懐疑的な報道が出ている。
日本では、検察が逮捕した容疑者を拘束できるのは48時間まで。この間に裁判所に勾留を請求し、認められれば10日間勾留される。さらに最長10日間の延長が可能で、起訴後も勾留が続くことが多い。
司法統計によると、裁判所が検察の勾留請求を退けるのは5%ほどにとどまる。起訴後、判決までに保釈を認めるのは32・5%。否認すれば拘束が長引く傾向もある。こうした運用は「人質司法」と呼ばれ、冤罪(えんざい)の温床になると国内外で批判されてきた。
また日本では、取り調べの際に、欧米や韓国で定着している弁護人の立ち会いはできない。特捜部の事件では、「接見禁止」措置で弁護人以外は家族でも会えないことがほとんどだ。
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