東名高速で進路を妨害されて停車した一家が、大型トラックに追突されて死傷した事故は「あおり運転」に対する社会の意識を大きく変えた。石橋和歩被告(26)=危険運転致死傷罪などで起訴=が昨年10月に逮捕されてからドライブレコーダーの出荷は急増し、警察も積極的な摘発に乗り出している。
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神奈川県警は、石橋被告があおり運転を繰り返していたことを証明するため、事故当時に周辺を走行していた車を特定して運転手らの話を聞き、一部の車両が搭載していたドライブレコーダーの映像も活用した。3日に横浜地裁であった初公判では、事故現場を通過した十数台のドライブレコーダーの映像が証拠として採用され、法廷で流された。
逮捕を機に、ドライブレコーダーの存在も広く知られるようになった。ドライブレコーダー協議会によると、逮捕直前の2017年7~9月の出荷台数は約43万台だったが、同年10~12月では約86万台と倍増し、18年1~3月は95万台を突破した。同協議会の鳥塚俊洋副会長は「事故に関する報道が影響した」と分析する。
ドライブレコーダーを取り付けているかは、車外からは見えづらい。鳥塚さんは「あおり運転の抑止に効果があるかどうかは分からない」と話すが、事故や交通トラブルがあった際、当時の状況を把握できることが購入につながっているとみられる。
搭載している車の運転手の事故防止にもつながるという。全日本トラック協会が14年度に1414事業所から回収したアンケートでは、9割近くの事業所が、「交通事故防止」のためにドライブレコーダーを導入したと回答し、7割以上の事業所が、導入によって「運転者の安全意識が高まった」と答えた。鳥塚さんは「スピードの出し過ぎなども記録されるため、運転マナーがよくなるのではないか」と話す。(飯塚直人)
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