江戸時代の春画(しゅんが)の復刻に、東京と京都の木版画職人と国際日本文化研究センター(日文研、京都市西京区)が取り組んでいる。当時から制作が規制され、今もタブー視されるが、そこに駆使されている浮世絵の優れた技法を、職人と研究者が協力して後世に伝えるのが狙いだ。男女の濃密な愛を表現する春画が、国内外で評価され始めたことも追い風になっている。
復刻が進むのは江戸時代の浮世絵師・鳥居清長(とりいきよなが)(1752~1815)の「袖の巻」。横長(縦10センチ、横70センチ)の和紙に、むつみ合う男女が木版画で表現されている。12作組みで日文研は10作を所蔵する。
東京と京都の職人が加入する東京伝統木版画工芸協同組合が2016年から日文研と進めており、3作を復刻した。日文研が所蔵しない2作については所蔵者の協力を得て、20年までに全作を復刻する予定だ。職人十数人が携わる。
きっかけは、組合の高橋由貴子理事長がロンドンの大英博物館で見た春画展(13~14年)。「袖の巻」は「簡素で上品。男女の会話が聞こえるようだった」という。「日文研から貸し出されたことを後で知り、技法を学びたいと思った」
ただ、展示をめぐり今も論争が…