外国人労働者受け入れ拡大に向けた出入国管理法(入管法)改正案について、与党は7日午後にも参院本会議で成立させる方針だ。阻止を目指す野党側は、6日に横山信一参院法務委員長(公明党)の解任決議案を提出。山下貴司法相の問責決議案の提出も用意している。与党側はこれらを否決した上で、法務委で改正案を可決し、本会議で成立させる構えだ。
政府は来年4月の新制度導入を表明しており、与党は今国会会期末(10日)までの成立を目指してきた。山下氏は7日午前の閣議後会見で「法務委や本会議、予算委などで国民に法案の重要性を理解してもらうべく説明に努めてきた」と述べた。
与党は、参院法務委での審議時間が衆院側を上回ったとして、採決の動きを強めている。7日の参院本会議で横山氏の解任決議案を反対多数で否決したうえで、参院法務委員会で改正案を可決。本会議に上程する方針だ。
野党側は、法務省が実施した失踪外国人技能実習生の聞き取り調査が「実態と合っていない」と指摘。採決は時期尚早として反対しており、改正案の委員会採決前に山下氏の問責決議案の提出を検討している。その場合、参院本会議が断続的に開かれることとなり、改正案の本会議採決は夜にずれこむ可能性がある。
野党内でも独自の対案を参院に提出している国民民主党は、外国人労働者の受け入れ上限数の設定などを盛り込んだ付帯決議を改正案につける方向で与党と調整している。
改正案は、政府が指定した業種で一定の能力が認められる外国人労働者に対し、新たな在留資格「特定技能1号」「2号」を付与することを柱とする。
1号は就業分野での試験と日常会話程度の日本語能力の試験の両方に合格することが必要となる。在留期間は最長5年で家族を帯同できない。2号は「熟練した技能」が求められ、資格の更新が続けば永住が可能で、家族を帯同できる。
その一方で、制度の詳細は法成立後に省令などで定めるとしている。政府は外国人労働者の受け入れ人数や、日本語習得など生活支援策などを年内にもまとめる方針だ。