海賊版と知りながらインターネットで漫画や写真などの「静止画」をダウンロードすることを違法にするよう、文化審議会著作権分科会の法制・基本問題小委員会が7日、意見をまとめた。文化庁はパブリックコメントを経て、来年の通常国会への著作権法改正案の提出を目指している。
小委員会で、すでに違法とされている音楽や動画以外にも対象を広げる方針が了承された。漫画や写真、雑誌の誌面、ブログに載ったイラスト、ツイッターのアイコン、コンピュータープログラムなどネット上のすべてのコンテンツが対象。著作権侵害だと知りながら、パソコンやスマホなどの端末にダウンロードしたり、画面を撮影してそのまま保存したりすることを違法にするとしている。
ネット利用が萎縮するとの声があるため、海賊版だと「確定的に知っている場合のみ」と厳しい要件を求めた。有償で売られているコンテンツの海賊版をダウンロードした際には懲役2年以下か200万円以下の罰金、または両方の罰則もつけるとした。
また、この日の小委員会では、海賊版サイトのリンクを集めて誘導する「リーチサイト」も違法とし、運営者に罰則を科す方針も確認した。これらをあわせた報告書を週明けにもパブリックコメントにかけ、意見を募る。
被害が深刻な漫画の海賊版サイト対策として出版社などが法整備を求めていた。海賊版サイト対策として政府が打ち出したものの、憲法が保障する「通信の秘密」を侵害すると反対が根強い接続遮断(サイトブロッキング)の「対案」としても注目されている。(上田真由美)